Mount

No.5 正しいマウントの仕方

　久々にスロットカーのセッティングについての私なりのやり方をお教えすることになりました。アンケートの時にやってほしいものと取り上げられたものの中で今までやっていないマウントの付け方について書いています。参考までにごらんください。

　最初にスロットカーを作るときに難関となるのがサーキットで買ってきたシャシーを作ったプラモデルと合体させる作業でしょう。これをマウントするというとよく言いますが、このマウントの仕方について僕のやり方を教えましょう。今回はプラフィット（主にエクセル）のやり方についてお話しします。

（１）マウントの種類について
　　マウントと一口でいってもいろいろあります。買ってきたときについているアルミマウントからユニバーサルマウントと呼ばれるいろいろな大きさのマウントを組み合わせて使うことのできるもの、それとプラフィット��の時によく使っていたＡカーマウント、Ｃカーマウントとよばれるものまで本当にたくさんあります。それぞれ車のトレッドに合わせて使用しましょう。
レギュレーションでマウントを指定するときがあります。そのときはそのマウントを使わなければいけませんが、それ以外のときはできるだけ低重心のものをつけるのが有利です。トレッドにて制限があるときはユニバーサルマウントを重ねて使うという方法もあります。マウントの大きさや重さはモーターパワーとのバランスが一番大切です。ラビットモーターなどは重くしたら安定して走り安いのですが、タイム的には全然早くないと言うこともありますので、それぞれよく考えてマウントを選びましょう。

現在、エクセルに使用可能なマウント

ユニバーサルマウント（９ミリ、７ミリ、５ミリ）
Ａカーマウント、Ｃカーマウント
アルミスライドマウント、スライドマウントロング

（２）マウントゴムについて
　　マウントするゴムの材質についても色々な種類があります。プラフィットの純正パーツでは厚さが３ミリのものと５ミリのものがあります。それにさかつうではとても硬質で厚さも１０ミリほどのものがあります。柔らかくするか、堅くするかで車の走りにはとても影響があります。これはトップドライバーでも意見が別れるところで、自分のスタイルにあった方がいいと言うしかありません。
　マウントするところを工夫してその堅さを調節すると言うことが今のセッティングの基本になっています。
　なんでこんなにマウントのゴムの違いで、走り方が違ってくるのかと言いますと、スロットカーにはサスペンションというものがついていないので、そのサスペンション効果としてこのマウントゴムが重要な役割を果たしているからです。
　エクセルにはフロント部分にスプリングが付いて多少のサスペンション効果がありますが、リア部分のサスペンション効果はやはりマウントゴムが担っていると言っていいと思います
　　
　柔らかいものはサスペンションストロークがあり、少し乱暴に走っても挙動が乱れることを防いでくれる反面、柔らかすぎるとモーターに負担がかかり、綺麗には走ってくれるのですが、挙動の乱れが突然来ることがあります。
　堅いものはサスペンションストロークが少なく、慎重に走らなければいけませんが、モーターへの負担は少なく、コーナー時のコントロールだけ気にすれば、挙動もすぐに乱れるので調整がすぐにできるという特徴があります。しかしサブフレームとの関係でうまく調整しないと扱いにくい車になってしまいます。
　最近の主流としてはフロント側は少し堅めでリア側はそれより少し柔らかくしていることが多いようです。

私の場合、東急ハンズなどの素材売場で黒いスポンジのシート（１センチ厚）を買ってきてここ３年くらいそのシート２枚でずっとマウントしています。またさかつうのディスプレイ用の台が硬めのスポンジと同じ材質なのでさかつうのマウントはすべてそれを使っています。堅いものを柔らかくするのは難しいですが柔らかいものを堅くするのには瞬間接着剤などを使っています。各面に少しずつ瞬間接着剤をしみこませ、堅さを調整していくのです。

ボディーに下地スポンジ（硬め）をつける巻き込みの線にスポンジをカット

下地にスポンジ（程良い柔らかさ）をつける微調整にプラバンを貼る

（３）ユニバーサルマウントの取り付け
　　ユニバーサルマウントをシャシーに取り付けるには、色々な調整部分があります。それぞれうまく取り付けないとせっかくのユニバーサルマウントの利点が無くなってしまいます。
　もともとこのユニバーサルマウントはエクセルのオプションパーツとして発売されたのですが、それまで使用していたものと全然違うところがあります。重さとかはもちろんですがエクセルシャーシに対応して前後バランスを調整できるということができるようになりました。これまでのＡカーマウントや、Ｃカーマウントはその車の前後の調整ができなかったのですが、このユニバーサルマウントでは前後に１センチほど動かせることになりました。他にはもちろんスライドしてトレッドにあわせることもできますし、その組み合わせでほぼすべての車に取り付けることができるものです。

　ここで注意してほしいことがひとつあります。それはシャシーとマウント部分の面を合わせるということです。立花さん流にいいますと”面一にする”ということです。これはマウント部分が１枚の時はそこに小さな調整の黒いパーツを２枚はめ込めばいいのですが、もし１枚づつしか手元になかったら、そのパーツの分だけ（約１．２ミリ）ワッシャーなどを挟み込んで調節してください。そうすると裏面がきれいになるばかりではなく、低重心の車となります。
　この注意を怠るとせっかくのユニバーサルマウントの利点が生きてこないことになります。

　最近の取り付けの流行はできるだけリア側にマウントをづらしてつけることがあります。これはできるだけリア側に重心を持っていって、グリップを稼ぐという考え方です。マウントを両面のテープで接着してその日の路面状況によってマウントを前後にずらすという方もいました。それはちょっとやりすぎと思いますが使うモーターなどによってもマウントの位置を考えたいものです。

マウント完成

（４）シャシーとボディーの付け方
　シャシーとボディーを付けるときには必ず完成時につけるタイヤと同じ径のものをつけて、きちんと車高調節をしているシャシーを用意してください。それはタイヤのホィールアーチのクリアランスをきちんと出すためです。この取り付けはタイヤの径によってだいぶ違ってくるのです。２７ミリ系のタイヤ用にセットしたもではタイヤを２４ミリのものをつけると大きくホィールアーチが余ってしまいますよね。そのあたりをきちんとするためです。もちろん、マウントは必ず１度でうまくいくとは思わないでください。均一に付いたとしても固まってみたときに左右の柔らかさが違っていたりするので最初のセットは仮止めだと思ってください。マウントのやり直しはセッティングの基本です。これがうまくいかないとあとで何をやっても無理ということがありますので、何度でもするつもりでいてください。

　理想的なものはやはり、ボディーとシャーシを面一にすることです。しかしそれは昔のＣカーならまだしもツーリングカーではなかなか無理なところです。　ＴＴＣＣ使用のエクシブなどはフロントスポイラー部分が一番低い部分なので、２４ミリのタイヤでもサイドを足してあげないとマウントできないものもあります。いろんな車によって違いますが、４本のタイヤがきちんとホィールアーチに収まるようにマウント部分の高さを調節します。

　マウント部分とボディーが直接着しないように気を付けてください。せっかくマウントゴムを介して接着してもボディーとマウントが直接接着していれば、ゴムによるサスペンション効果は望めません。無理矢理マウントでボディーを押してトレッドを広げたりしても同じです。ボディーには干渉しないように付けてください。
　ユニバーサルマウントではマウントの真ん中の部分はマウントゴムに当たってしまうので、その部分のマウントゴムは切りとらなければいけません。最初から前後左右の４カ所のみにマウントゴムを配置する方法を私は採っています。その４面を均一に平行に作るわけですからやはり難しいものです。微調整に僕はプラバンや紙などを使います。１ミリや０．５ミリならプラバンを切って調節し、それより小さい調節はいろんな紙の厚さを測って、それに合うものをくっ付けています。
　アルミマウントをつけるコツはボディーの内側にマウントゴムをつける時に、アルミマウントが突っ張らないようにスムーズに入るように厚さや、マウントの位置を調整してください。それでスムースに入りそうだったら、ボンドを付けたら固まらないうちにすぐに取り付けて、４本のタイヤがうまくホィールアーチに収まるように付けてください。ボンドが固まらないうちにその調節を終わらせてください。失敗したらはがしてもう１度！何度でもＯＫ！自分の納得にいくまでレースマニアの私でも平均２回以上は、やり直しているのです。

（５）ボディーとの調整
　　一度付いたマウントをテェックする項目ですが、ここではボディーと干渉部分がないかよーくチェックしましょう。リアタイヤの巾が大きいものは裏側の出っ張った部分に干渉することがあります。それと一番良く見なくてはいけないのはフロント部分のホィールアーチとの干渉でしょう。これはエクセルにおいては特にフロントのスプリングが縮んでいるときに干渉しないようにチェックしておきましょう。これは走らせ方にもよるのですが、ラフなスロットルワークをしても十分に対応できるように最低でも１．５ミリの余裕を持っておきたいものです。
　ボディーとの調整は走らせてみて初めてわかるときがあります。走らせたとき　に異音がしたり、突然跳ねたりした時はボディーとの干渉を考えるべきです。
　
　（６）マウントを含めたセッティング
　１度走らせてみて、セッティングをはじめるのですが、セッティングの最初はギア比を決めること。それからガタつき、もちろんタイヤはほぼすべてのセッティングの基本ですが、車の調整できるところはすべていじってみます。それでもおかしいと思ったら、もう一度マウントをやり直してみるということもそのセッティングを行うということのひとつです。
　マウントはやはりゴムを使って接着することが基本なので少なくともマウントして一昼夜、少なくとも８時間以上経ったものがいいです。それ以下ですと、やはり途中で途中で柔らかくなったり、取れてしまうことがあります。ですから、スロットカーをセッティングするのには最低でも２日はかかるという事です。それはもちろんタイヤを含めてシャシーのことですのでそれまでにボディーの方は完璧に作っていなくてはいけません。

　（７）あとがき
　マウントだけでもけっこうやっかいなものですよね。しかし、これを克服しないと速い車はできません。もちろん内装などの干渉もこのマウントを工夫することで解決することが多いので是非いろんなマウントをマスターしてください。
　今回はエクセルを中心に書きましたがさかつうのマウントではサブフレームが無く段つきネジでガタつきを調整するものなので、エクセルとはマウントの仕方が全然違います。さかつうでは他にもサイドマウントやリアマウントなど独特なものがあります。さかつうマウントについては又次回にお伝えします。

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ボディーに下地スポンジ（硬め）をつける	巻き込みの線にスポンジをカット

下地にスポンジ（程良い柔らかさ）をつける	微調整にプラバンを貼る