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NO.2 タイヤ制作の極意
　

　スロットカーの走りの違いはタイヤで決まってくるといわれるくらい、精度の良いタイヤを作れ、しかも長く持たせるということはいい車作りに一番関係しています。初心者は初めはなかなか難しく、人にやってもらったりするのですが、タイヤも生き物なので走りはじめてまたサイドが変形してきたりとメンテナンスも重要です。今回はタイヤのメンテナンスを含めてタイヤの製作の極意をお教えしましょう。　

（項目）
1.タイヤとホイールの準備	7.車高バランス
2.タイヤとホイールを付ける	8.タイヤとホイールの関係
3.タイヤのブレをなくす	9.テスト走行
4.タイヤを削る	10.メンテナンス
5.タイヤ径と走向特性のちがい	11.タイヤカッター
6.タイヤの幅とコンパウンド

　1.タイヤとホイールの準備　　　

　ホイールをシャフトに付ける。これはホイール１個に１本ずつシャフトを用意した方がいいです。次に合成ゴム系の接着剤を付けるのですが、先ずは薄くてよいですからタイヤの内側とホイール外周の両面にしっかり接着剤をぬります。なるべく均一になるようにします。この状態でいったん乾かします。１０分くらいで良いでしょう。

　
2.タイヤとホイールを付ける

　乾いたら（指につかない程度）シンナーなどの溶剤で接着剤を溶かしタイヤに接着します。もちろん焼きのはいった方（なめらかになっている方）を外側にして付けます。すぐにタイヤを平らな場所に置いて上からホイールを押し込みます。

3.タイヤのブレをなくす　

　ホイールを押し込んだら直にタイヤとホイールを少々回して平行と芯を出します。このグリグリをすることで芯が出ますし、タイヤとホイールと接着剤がしっかり馴染んでくれます。使わないシャーシにシャフトを付けてタイヤを回してチェックするという方法もあります。見た目によれがないようにすることが一番のタイヤのいい作り方です。この後、最低でも３時間は乾かします。できれば一昼夜そのままにしておくのが最適です。

　　4.タイヤを削る

削るのはサーキットに置いてあるボール盤がいいです。ドリルやシャーシではぶれてしまい易いです。ぶれたタイヤでは跳ねてしまいます。プラフィットからタイヤショップという製品も発売されていますが、これには別電源が必要です。これは仕上げには最適なのですが、荒削りはちょっとやりにくいかもしれません。直角の出ている角材やアルミブロックなど、手短なものではお祝いの時もらった升などに布製のヤスリ、（８０、１２０、１８０番）を張ってタイヤ削りに使います。後輪用のブラックマジックというタイヤはとても削りにくいので、注意が必要です。最初は左右のタイヤをいっぺんに削ってもかまいません。ヤスリは目のあらいもので目標のタイヤ径の１ミリくらい大きめに削りますが、けして急激に削って熱を持たないようにしましょう。もし熱を持ってしまうと、冷めたときにタイヤの径が変わっています。きちんと測るときはタイヤが冷めた状態で測りなおしてください。
　　　　
　きちんと冷めた状態で、あと１ミリを削るのですが、ここからは左右１個づつ真剣に削ってください。ヤスリとタイヤを余り強く付けないようにして、ゆっくり削ります。このとき両端のそり返りをなくすためにヤスリを斜めにしたりして、本当に均一にタイヤの面を出してください。またふれを出さないように、指で軽く触れたりして確かめてください。熱には常に気を付けてください、それが両端のそりの原因になっています。そして測るときは必ず、冷えた状態で測ってください。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　測るのにはもちろんノギスを使うのですが、タイヤに対して横からタイヤ面を均一にして測ってください。そこでタイヤ面の状態もわかると思います。タイヤに優しく触れるくらいでその感覚を覚えていて左右同じような感覚にして、できるだけ左右同じ大きさにします。　　　　　　　
　　　　
　タイヤの大きさは０．１ミリ単位で大きさを考えましょう。左右の大きさの違いは０．１ミリ以下の違いであれが大丈夫ということです。またレギュレーションで決められたタイヤ系よりも少なくとも０．５ミリは大きめになるようにしましょう。走っていくうちに０．３ミリくらいはかるく小さくなってしまいます。練習で走りすぎて良いタイヤになってもレギュレーションに通らなかったらレースには使えません。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　
　もしもタイヤの幅を狭めるときは、最初にテープなどでしるしを付けて、カッターで切り取ります。このときも目標の幅より１ミリ程度大きめにします。そしてヤスリを上にあてがって最後の１ミリを削ります。　　　　　　　　　
　　　　
　タイヤの端はヤスリで丸くしないで角が立つようにします。エッジがあった方がコーナーでのふんばりがきくようです。もちろんタイヤの表面の焼きが入っているところは削らないようにしましょう。踏ん張りがきかなくなります。前輪のタイヤは硬質なものが使われていますから、熱にはそんなに気を使わなくても大丈夫です。しかし、すぐに削れてしまうので、削り過ぎに注意してください。あとは後輪のタイヤと同じです。　　　　　　　　　　　　　　

　
　
5.タイヤ径と走向特性のちがい

　先ず径でギア比が変化します。同時に車高が変わりますからコーナーでの安定度が変わります。例えば径が小さくなると加速は良くなりますが最高速は落ちます、同時にコーナーでの安定度は増す傾向になります、結果コーナーで強い車になるでしょう。ですが径が小さくなるということは設置面積も減ってしまう事を忘れないでください。大きな円と小さい円を横から見ることを想像して頂ければ判り易いと思いますが、大きな円の方が路面に設置する面積が大きいのです。このことから小径タイヤ+ハイギアは決して大径タイヤ+ローギアと同じではないことが理解できると思います。

　
　6.タイヤの幅とコンパウンド　　

　タイヤの幅とコンパウンドが違えば、使用するモーターやその路面コンディションにも影響され走行性能にとても違いがあります。初心者の方は太いタイヤが見た目も格好いいし、実際スケール感からすれば、その車のキットの幅で行きたいところです。しかし、走らせてみるとグリップのよすぎるものはコーナーで安定していて一件走り安そうですが、タイム的には速くもなく、突然グリップを失うととても熟練者でもコントロールは難しいです。ここはバランスをとって、ちょっと滑くらいの方がコケにくくなります。ラビットなどの非力なモーターでは幅は狭い方がいいようです。チーターモーターではできるだけ幅は広い方がいいというように変わってきます。ですから、モーターが変わったらタイヤも変わると考えてください。
　　　　
　最近の主流であるブラックマジックはそのグリップの強さで、コースのメンテナンスをも変えてしまったほどで、そのグリップ感は昔のハイグリップタイヤとは比べものにはならないほどです。昔のタイヤは今やＭコンパウンドくらいしか手に入らなくなりましたが、さかつう製のタイヤなどその流れを組むタイヤもまだ手に入ることができます。タイヤの幅が決められているときにはそのコンパウンドを変えてみることも選択肢になります。ギスラの前回のゼブンのワンメークの時のタイヤは消耗品ということで、ドーナツの変更は認められていたのでブラックマジックで作ってみました。すると大変グリップがあるタイヤになって、鈴鹿コースではとても走り安くなりました。しかし、２階のデイトナコースではちょっとグリップが強すぎたようです。

　7.車高バランス

　エクセルシャーシなどは車高調節が簡単にできますが、今回のレーシングタイプのシャーシなどの車高調節のできないものは、前後のタイヤ径を変えることで前後の車高バランスを変える事も可能です。うまく使えばガイドに掛かる荷重を増加させる事が出来ます。スロットの場合、全てはガイドの設置圧からはじまるといっても良いと思います。まずは前後の車高をイコールから始めると良いでしょう。（ちなみに車が前進すればそれだけガイドの設置圧は増加します。スロットカーはつんのめって走るのです。）　　

　8.タイヤとホイールの関係

　スケール感とタイヤの大きさはもちろんなのですが、そのホイールとタイヤの大きさ（タイヤのハイト）もしかりで、タイヤにホイールパターンを入れるだけということではなく、走行性能に影響します。ブラックマジックはそのハイグリップさのために横滑りもないような特徴を持っていたので、タイヤのハイトがありすぎると横にうまく滑らずコーナーをうまく回ってくれない事があります。これはあまりグリップがよすぎるためにタイヤのよれも生じて、突然飛び出してしまったりというようなことが起きたりしてしまいます。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　最近ではタイヤのドーナツ部分の厚みが５ミリ前後が１番適しているといわれています。つまり、２５ミリのタイヤを作るなら、ホイールは２０ミリのものを使うということです。２７ミリのタイヤを使うときは２２ミリ径のホイールを使ってみたり、もちろん使うモーターやその車の重量にもよりますが、まずはこれが目安ということになっています。チーターなどのモーターでは２７ミリ系のタイヤでも２１ミリにして作ってみたり、ラビットなどではドーナツの厚みはもっと薄く４ミリにしたりということになります。レースではホイールも限定されているときがありますから、そんなには選択肢はないでしょうが、１ミリの差が走行にはとても影響がありますから、欲しいタイヤの径とホイールの選び方のひとつとして頭の中に入れておいてください

9.テスト走行

　その日初めて走らせるときは必ず、柔らかい布にジッポオイルを湿らせてタイヤ面を綺麗にふき取ります。そして、ブレードコンディショナーを表面にまんべんなく付けます。このブレードコンディショナーは本来、ブラシのメンテナンスに使うものですがタイヤのメンテナンスにも使えます。グルーでべたべたになったときもこの方法で綺麗にしてください。
　しかしグルーは適度にないとタイヤも滑ってしまうので、路面のグルーを吸い取ってくれるまで（約２、３周）は気を付けてゆっくり走りましょう。削り終えたタイヤはまだ真円が出ていないので、できるだけ長く走らせて真円になるようにしましょう。最低でも走行時間５０分を目安にしてください。そして走らせる度にタイヤの状態をチェックしてそり返りはないか、左右の大きさは均等か、エッジはきちんとしているか、などをチェックしてください。そしてエッジがそり返ってきたりしたら、またボール盤やタイヤショップなどで少しだけ削り直したり、常に最適なタイヤになるように心がけましょう。

10.メンテナンス

　１度走り込んだタイヤは左右のタイヤの特性が出てきますから、必ず左右どちらで走り込んだのかをマジックなどでタイヤの裏側に書き込むようにしましょう。タイヤを替えてまた使うときに左右のタイヤを間違わないように注意して取り付けましょう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　スロットカーをしまうときや調整以外でおくときは必ず、タイヤが直接つかないようにして、タイヤの変形を防ぎましょう。長時間使わない時はタイヤをはずして、フィルムのパトローネ入れに密封すれば結構長持ちします。その時は何かオイル（ブレートコンディショナーでも可）を付けて保存しておいた方がいいようです。

　
11.タイヤカッター（下記図参照）

　この存在はあまり知られていないようですが、レースマニアの間では羨望の眼差しをあびています。一時期ＳＲＰでも販売されていたようですが、すべてハンドメイドなので完全に限定生産らしいです。　　　　　　　　　　　　　　
　これはアルミブロックの真ん中にシャフトが貫通する穴があいておりその４面に直角にタイヤをカットするために精度よく立てられた、長いカッターの刃でタイヤを一気にカットするというものです。その４面にはタイヤの大きさによって中心からの距離がきちんと測られていて、その精度はとても高いものです。これがあれば熱で変形することもなく、綺麗な真円が出ているタイヤが簡単に作れるというわけです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　しかしもちろん最終仕上げは自らのヤスリで丁寧に削っていくことに代わりはないので、そんなには必要ないのかもしれません。例えば２４ミリなどの小さいタイヤを作る時にはカッターで２５ミリに切って最終的にヤスリで削るという使い方が一般的でしょう。

◎３�@Hole　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　ボール盤のシャフトがきれいに貫通するようにボールベアリングが仕込んである。この位置にきれいにシャフトを通せば４面のその距離に応じたタイヤの大きさに切れる。

◎Cutter Nob　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　とても長い、カッターの刃でこれによってタイヤを切る、垂直に正確にたっている。カッターをこの４面に変えることによって大きさを変えることができる。　

◎Cutter Set　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
カッターを付けるための穴。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

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